感電事故

Electric shock accident

送・配電設備による感電事故の原因と対策

送・配電設備における感電事故は電線同士や電線と鉄塔(地面と接しているもの)など、電位差のある2ヶ所に身体が同時に触れ(もしくは近づき)、電流が体の中を通ることで起こります。

猛禽類は見晴らしの良い高い所に止まる習性があり、高い樹木のほか、街灯や電柱などの人工の構造物も止まり木として利用してしまいます。そのため、電柱や鉄塔などに止まろうとした時、または止まっていて飛び立とうとした時に、翼などの体の一部が電気の通る部分と接触・接近することで感電してしまいます。

北海道では、今までにシマフクロウ、クマタカ、オジロワシ、オオワシなどの感電事故が起こっています。電気設備の状況や被害鳥から得られた情報を元に、事故の状況や発生場所、鳥の姿勢や通電部位などを把握することは、再発の防止や予防策を考える上で重要な手掛かりとなるため、電力会社の協力のもと研究所へ運び込まれる被害に遭った個体の全てにおいて事故発生時の状況を精査しています。

感電死した猛禽類には、重度の火傷が認められ羽毛が黒くこげていることがあります。また、電流斑(電撃斑)という赤斑が通電部の皮膚に見られることもあります。このような、被害に遭った個体の身体に残る事故の跡と、事故が生じた設備の構造や形状を照らし合わせて、事故時の姿勢や感電時の前後における個体の動きを把握し、次なる事故が同様のシチュエーションで発生しないよう、対策を講じます。また、事故が発生した設備の周辺環境についても情報を集め、猛禽類がその場所を利用するようになった理由も考察し、対策を施した後に近接する別の設備での事故が発生しないよう検討します。

電柱にとまる複数のワシ
電柱の上で餌を食べるオオワシ
感電により火傷を負った足指