猛禽類は習性上、見晴らしの良い送・配電柱をとまり木として利用しますが、この行動が感電事故を助長し世界中で問題となっています。近年、道内で発生した大型猛禽類の感電事故は、2013年までにオオワシで25件、オジロワシで9件、シマフクロウでは13件が記録されています。これらの感電事故の多くは、鉄塔に留まろうとした際に電線に接触もしくは接近して発生します。電気設備の状況や被害鳥から得られた情報を元に、事故の状況や発生場所、鳥の姿勢や通電部位などを把握することは、再発の防止や予防策を考える上で重要な手掛かりとなります。
新設する送配電設備に対しては、周辺域に生息する猛禽類が電力柱にとまった際に、安全が確保されるような設計を採用することが重要です。一方、既存の送配電設備に対しては、猛禽類を危険な場所に接近させないための器具(バードチェッカー)の設置や、安全なとまり木の設置と誘導が必要となります。猛禽類医学研究所では、電力会社の協力の下、感電防止器具の開発や有効性の検証を、実際に大型猛禽類を用いて実施しており、成果のあったものは道内で運用中の送・配電柱、2000カ所近くで採用されています。