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シマフクロウの交通事故が頻発! 9月下旬、釧路管内の橋の上で、一羽のシマフクロウの幼鳥が轢死体として発見されました。川に沿って移動しながら生活するシマフクロウが橋の上で車と衝突する事例は以前より数多く発生しています。事故の対策や予防につなげる情報収集のため、現場検証に行ったところ、新たなシマフクロウが一羽、路肩の草むらに横たわっているではありませんか! |
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翼がガックリと下がり すぐさま捕獲し、身体検査を行ったところ、左翼の骨(上腕骨)を骨折している事がわかりました。傷の新しさから、どうやら前日の晩に車にはねられたようです。現場で点滴などの応急処置を施した後、センターに緊急搬送しました。ICU内に収容されたシマフクロウは、何とか起立しているものの、左の翼がガックリと下がっているのがわかります。 |
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ひじの部分で真っ二つ レントゲンを撮ってみると、左ひじのすぐ上の部分で、上腕骨が完全に折れていました(写真の右上)。事故による衝撃で、内臓や脳にもダメージが及んでいる可能性があるため、全く予断を許さない状態です。各種の精密検査と投薬を並行して行いながら、治療方針とそのタイミングを決定して行きます。 |
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特殊な方法で固定 シマフクロウの容態が安定し、全身麻酔下での手術に耐えられると判断された段階で、上腕骨の整復手術を実施しました。鳥の上腕骨は中空で、「気のう」と呼ばれる呼吸器系の袋が入り込んでいます。さらに今回は関節に非常に近い部分での骨折だったため、特殊なピンを使って動きやすい骨を固定しました。 |
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ようやく気力が戻り 手術を終え、がっちりとテーピングされた翼が痛々しいシマフクロウ。最低でも1ヶ月間はこの状態で入院生活を送らなければなりません。 数日後、ようやく気力を取り戻し、人が近づくと背中の羽毛を逆立てる仕草が観られるようになりました。食欲も旺盛で、小さな生け簀の中から生きた魚を自ら捕食できるようになりました。 | ||
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せめて速やかに一報を・・・ 一命を取り留めたとはいえ、野生に戻れるまでに回復できるかどうかは不透明な状況です。関節近くでの骨折は、翼を失わずに済んだとしても、大きな後遺症が残ることも少なくありません。 今回もシマフクロウと衝突した「犯人」は不明のまま。せめて速やかに事故の一報を入れてくれていたらと思うと、同じ人間としてやりきれない気持ちになります。 |
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