トビの子供？ いいえノスリです。 　10月初旬、釧路市内で中型の猛禽類が保護されました。「トビの子供？」とのことで通報があったのですが、実際にはノスリの成鳥でした。比較的元気さはあるものの、左の翼が不自然に垂れ下がり、骨折が疑われました。
		左の翼を骨折 　レントゲン検査を行った結果、左前腕の橈骨（とうこつ）と尺骨（しゃっこつ）を複合骨折（数カ所で骨折）していました。尺骨（鳥類では通常太い方の骨）は二カ所で斜めに折れ、ギプスなどによって外側から固定するだけでは整復するのが難しいと判断されました。
		複雑にピンを入れて固定 　ガス麻酔によって眠らせた後、手術によって橈骨と尺骨の内部にピンを入れ、さらに捻転しないように外側からもスクリューピンを打ち込んで折れた骨をつなげました。バラバラ折れていた尺骨も、元通り一本の骨になりました。
		威嚇のポーズは野生の証 　麻酔から覚めたノスリ。体外に突き出ているピンで鳥が傷つかないように、テープなどで患部を保護してあります。野生の心はしっかりと残っているようで、私達を見ると自由がきく右の翼を広げて威嚇します。絶対安静ですよ！