![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
運ばれてきた真っ黒なワシ ある日、猛禽類医学研究所へ一本の電話が入りました。「泥まみれで飛べないワシがいる。」渡辺獣医師が様子を見に行くと、思っているよりひどい泥まみれだったようで即捕獲になりました。 研究所で待っていた私は、まず到着した渡辺獣医師を見てびっくり。顔から靴まで、体中が真っ黒でした。 捕獲されたワシはどれほどひどい状況なのかと、とにかく袋に入ったままのワシを連れてお風呂場へ。袋から出してみると…これは成鳥?幼鳥?年齢がわからないほど真っ黒なオジロワシが出てきました。 |
||
![]() |
|||
![]() |
泥汚れを流します 目や嘴の色からは成鳥であることがわかりましたが、体は元の色が全く分かりません。 オジロワシの体温は平熱で40℃ありますので、シャワーも少し高めの温度に設定し流していきます。目や耳、口に入らないよう慎重に洗い流していきますが、ちょっと油断するとシャワーヘッドを噛もうとするので注意です。 泥は思ったよりもサラサラしていてどんどん汚れが落ち、元の体の色がようやく見えてきました。 |
||
![]() |
|||
![]() |
しっかりと乾かします 汚れを流し終わったら体を乾かします。体が濡れていると体温を奪われてしまうため、表面だけでなく、体羽の中までもしっかりと乾かしていきます。 体をおさえるとストレスになるため、ケージにワシを入れて暖房をつけながらドライヤーをかけます。やっている人間側は暑くて汗をかいてきました。 このまま外の入院室へ入れると気温差がありすぎて危険なため、今日は室内のケージで一晩を過ごしてもらいます。 |
||
![]() |
|||
![]() |
すぐに飛べました! 診察をしても瞬膜が切れてしまっていた以外は特に異常はありませんでした。早めに野生復帰が出来そうで安心です。 外のリハビリケージへ移動してもすぐに飛び、一番高いとまり木へとまりました。越冬のため北海道に渡ってきているワシが数多くいるため、冬はワシが運ばれてくる数が一番多い時期です。 怪我や病気だけでなく、たまにこんな珍事件もありますが、一羽でも多くのワシが野生復帰できるよう尽力していきたいです。 (執筆:中村鈴夏) |
||
|